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☆国際指導者福島合宿 2月9日(土)〜11日(月・祝)
毎年恒例になっている極真館の指導者合宿が石川町(沢田中学校体育館)と玉川村(たまかわ文化体育館)で開催されました。
海外からもロシア・ウクライナ・カナダ・アフガニスタン・ポーランドの支部長が参加し、国内と併せると約120名もの参加者になりました。
今回の合宿は、廬山初雄館長、廣重毅副館長、中国拳法の孫立特別師範、湖山彰夫本部長、岡崎寛人副本部長から直接指導を受けることが出来て、とても内容の濃い実り多き合宿になりました。
それでは、私の昇段試験を含む指導者合宿の体験レポートをご覧下さい!
【一日目】
まず始めにウォーミングアップとしてマラソン・馬跳び・2つのグループに分かれての綱引きが行われました。
綱引きをやりながら『去年は騎馬戦の騎手になって皆にもみくちゃにされたっけなぁ…。今年はやらないみたいだし良かった♪』なんてことを考えていると、「綱引きでは勝負がつかないから騎馬戦をやろう」と館長が仰いました。
昨年『体の小さい人が騎手をやればいい』と館長が仰ったのを思い出し、間違いなく自分に白羽の矢が刺さると思った私は出来るだけ人混みに紛れるように体の大きな人の影にひっそりと隠れていました。
なんとかやり過ごせそうだと思った矢先に、ロシアのネステレンコ師範が隠れている私を見つけて指差し、「(小さい人)居た―――!!彼が騎手をやればいい!」(ロシア語は分からないが多分そう言っていたと思う)と大きな声で言いました。
結局、嫌な予感は的中して今年も騎手を務める羽目になってしまいました(泣)
相手の陣営を見ると、昨年騎手である自分に思い切りジャンプして飛びかかってきた幸手支部の田森師範がいるではありませんか!
その後の展開が軽々と予想され軽いめまいを覚えている私にはお構い無しに、騎馬戦が始まると田森師範がもの凄い勢いで飛び込んで来ました。そして私を思い切り床に引きずり落とすと「今年も俺でゴメンネ」と一言。勘弁してください(泣)
騎馬戦は2回行われ、結果は2戦全敗。私はふくらはぎを痛め、誰かに掴まれた腕が紫色に変色してしまうなど去年に引き続き散々な目に遭いました。
ウォーミングアップ終了後、廣重副館長の号令で準備運動が行われ早速館長稽古に入りました。
まず館長から「世の中に偉い人は沢山いるが空手の世界では一番稽古した人が一番偉いのです」というお話がありました。
私はその言葉を聞きながら今回昇段審査を受ける身でもあるので、この合宿のメンバーの中で誰よりも一番稽古しようと決意を新たにしました。
また、普通の人間が突発的に何者かに襲われた場合、大体が身体が一瞬伸びきってしまい何も出来ないか反撃するのに時間がかかるものだが、そういう突発的な出来事が起きた場合に身体が伸びてしまうのと一瞬縮ませてすぐ反撃出来る人間とでは大きな差が出来るというお話もありました。自分はこのような事態が起こった場合、身体を一瞬で縮ませることが出来るのか疑問ですが、一つ一つの動作に全く無駄が無い館長の基本や型の鋭い突きや蹴りを見ながら、少しでも近づけるために精進しようと思いました。
館長稽古終了後、岡崎副本部長から太極その1・平安その1からその3と平安の分解の指導がありました。
身体の動きと手の動きがばらばらにならないことや、運足における注意点、下段払いの手の払い方等細かく説明がありました。型の分解は今回私が受ける審査項目にも含まれているので復習できて良かったです。
続いて棒術に入り、素振り・移動稽古・大城の棍の稽古が行われました。
1日目の最後のメニューであるミット打ちの講師は、何と南東北大会のアナウンサーで大変お世話になっている相沢さんでした。
この度正式に極真館茨城支部長に就任された相沢さんは、過去にプロ格闘家のキックミットコーチをしていた経験を買われて今回講師に抜擢されたようです。
真剣勝負ルールに向けた稽古では今までのキックミットの使い方では対応できない部分があり、今までにないミットの持ち方(顔ぎりぎりに構える)や打ち方(脇をしめ背中で打ち込む)に戸惑いながらも、実戦で使えるコンビネーション技が含まれていてとても参考になりました。
1日目の稽古が終わり、19時より宿泊地:井筒屋にて懇親会が行われました。
館長が冒頭の挨拶で「ここにいる参加者は家族のようなものです」と仰いました。そのことは皆さんの温かさに触れた合宿の3日間でその通りだと実感しました。
その日は懇親会が終了してから0時過ぎまで宿のロビーで外人勢や審査を受ける仲間と稽古しました。
【二日目】
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朝起きると一面銀世界でした。
膝上まで積もる大雪でしたが玉川村公民館職員の方々の熱心な除雪作業のおかげで、何とか皆がたまかわ文化体育館駐車場へ車を入れることが出来ました。
合宿2日目からたまかわ文化体育館が会場になるということで、稽古開始の前に地元玉川村の石森村長からご挨拶を戴きました。
午前の稽古は孫立特別師範による意拳の指導から始まりました。
どちらかの足を一本半前に出す站椿(たんとう:意拳の基本の立ち方)は実に利に適った立ち方で、相手が下段蹴りを打ってきた時には膝を柔らかく曲げているため技の威力を逃がし、中段を蹴ってきた時には曲げている肘を少し落として受けることが出来ます。また、攻撃する時も正確に立つことが出来ていればそのままの姿勢で前蹴りが打てます。
次にそこから足を動かさずに上半身を後ろにゆっくりと動かす稽古を行いました。この動作は実際に上段突きや前蹴りで攻撃された時、後ろに下がるのではなく上半身だけ後ろに引いて回避するという技で、実戦でも使えるものでした。
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午後に入り、館長の一声で全員外に出てまさかの雪合戦が行われました。
やってみると意外に楽しく、皆本気になって雪玉を投げていました。私も巨大な雪の塊を円盤投げで相手に投げようとしたら、目の前にいた味方のアフガニスタン人の後頭部に思い切り当たってしまい、敵陣には微塵も届かないというアクシデントがありました。毎度毎度余計な事をしでかす私ですが、その後男性は上半身裸になり全員が裸足になって、皆が異様なテンションになるなか基本稽古を行いました。
屋内に戻りタオルで足を拭いた後、岡崎副本部長による棒術の指導がありました。昨日の復習で基本・移動・大城の棍と稽古し、二人組みになってお互いに上段と下段を打ち合う基本の組棒の反復を行いました。
続いて「裏技」の稽古が石島師範と村椿先生を手本にして行われました。
一緒に審査を受けるということで、合宿に入る前から石川道場の馬場先生と稽古してきた胸取り・肩取り・小手返し(2通り)・中段突き取り(2通り)に加え、新たに打ち取り・上段突き取り(2通り)を教えていただきました。
審査では何が出るか分からないため、今日も懇親会の後に稽古しましょうと馬場先生と頷きあいました。
2日目の最後は審判講習会でした。
金子師範を中心として4班に分かれ、実際に選手を戦わせての本番さながらの講習会を実施しました。福島県支部でも審判未経験の黒帯がいたのでいい経験になったと思います。
この日も井筒屋に戻って懇親会がありましたが、私は明日に審査が控えていることもありあまり飲み会モードではありませんでした。
しかし、同じく審査を受ける馬場先生は、いつも通り一升瓶を抱えてフットワークも軽く、流石肝が据わっているなと感心しました。
やはり、この日も宿での稽古が0時を超え、蓄積された疲労も睡眠不足と重なってピークを迎えていました。
【三日目】
3日目は館長稽古から始まりました。
まず二人組みになり、しゃがんでいる相手を飛び越えた後下をくぐり抜ける運動をお互いに左右20本ずつ行ってから、立ち方や座り方、挨拶の仕方など空手に最も大切な礼儀作法について指導がありました。
私も道場生に「礼儀作法がちゃんと出来ない人間は強くなれない」と言っている手前、きちんと行ってきたつもりでしたが間違って覚えていた部分が確認できて大変ためになりました。
その後、岡崎副本部長による平安の分解と裏技の指導があり、合宿の全日程が終了しました。
…と、いつもはここまでなのですが、今年の私は参段の昇段審査に挑戦するということでここからが本当の勝負になりました。
久しぶりの審査でしかも館長・副館長の前で行うと言うこともあり、試合とは違った異常な緊張感の中での審査となりました。
審査内容は下記の通りでした。
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基本稽古・・・三戦立ちからの中段突き・上段受け・内受け・前蹴り
移動稽古・・・中段突き・外受け・回し蹴り
型・・・太極その1・平安その2・撃砕小・征遠鎮・観空
平安の分解・・・10本全て
裏技・・・5本
棒術・・・大城の棍・周氏の棍・リュウビの棍・組み棒(周氏の棍)
サイ・・・多和田のサイ小
組手
今回参段を受けたことで、サイなどの武器術や裏技などを必死で覚えたこと事や、尊敬している静岡の伊熊支部長と組手が出来たこと、また多くの先輩方と井筒屋で合格を目標に深夜まで稽古出来たことは自分にとって大変貴重な経験になり、一生の思い出になると思います。
おかげさまで無事に合格することが出来、審査に至るまでにご指導くださった岡崎師範、長い間一緒に稽古に付き合ってくださった馬場先生、当日応援に駆けつけてくれた道場の仲間達、そして妻と子供達に感謝いたします。